- カプセル大腸内視鏡という選択肢
- 当院では大腸カプセル内視鏡を2019年11月より導入しました。
カプセル内視鏡とは、大きめのビタミン剤ぐらいのサイズをしたカプセル型検査装置です。 - カプセル大腸内視鏡のしくみ
- カプセル内視鏡は、水と一緒に飲み込まれたあと、腸管内部を進みながら内蔵の小型カメラで写真を撮像記録していきます。撮像後、カプセル内視鏡は自然排出されます。
- カプセル大腸内視鏡の構造
- カプセル内視鏡は、フラッシュの役割をする白色LED・バッテリー・画像データ送信機・小型のイメージセンサなどが内蔵されています。
大腸カプセル内視鏡のサイズは、長さ約32mm、直径約12mmです。大腸用カプセル内視鏡には前後に内視鏡カメラが搭載されており、片側172°、両側で360°近くの視野角で腸内を撮像できます。消化管内での大腸用カプセル内視鏡の移動がゆっくりの時は毎秒4枚、速い時は毎秒35枚で、大腸用カプセル内視鏡の移動速度に合わせて枚数を調整しながら撮像します。 - カプセル大腸内視鏡の検査方法
- 検査前日
- 大腸内視鏡のページに記載している内容と同じです。前日は朝昼晩、当院からお渡しするレトルトの検査食のみ召し上がってください。夕食後、午後8時くらいに少量の下剤を服用していただきます。
- 検査当日
- カプセルが排出されるまで終日絶食です。午前6時より大腸内視鏡のページに記載しているものと同じ下剤をまず1リットル飲み、腸の内容物を押し出してきれいに洗浄します。上下わかれたゆったりした服装で午前9時に来院してください。
- 大腸の洗浄度が充分であることが確認されたら、センサーを粘着パッドで腹部、胸部、お尻の上部の8箇所に貼付けます。
- 記録装置を入れるポーチがついたベルトを肩から斜めにかけ、記録装置とセンサをつなげて、準備完了です。
- 医師の指示にしたがって、適量の水で大腸カプセル内視鏡を飲み込んでください。
- 検査中は、大腸カプセル内視鏡の移動をスムーズにさせるため、院外を歩いていただいても結構ですし、院内でお過ごしいただいても大丈夫です。だだしカプセル内視鏡が腸の中を進むようにするため、下剤を追加で約3リットル飲んでいただきます。そのため外出される際にはトイレにいつでも行けるように、トイレのある場所を確認しておきましょう。
- 記録装置は、一定時間が経過するとアラームが鳴り、ディスプレイに番号が表示されます。指示にしたがって下剤を追加服用し、検査を続けてください。
- 大腸カプセル内視鏡の排出が確認できたら検査終了です。大腸カプセル内視鏡を飲み込んでから10時間経過するとバッテリーが切れ、撮影が終わりますので、その時点で検査が終了となります。その場合大腸の中を最後まで観察できないこともあります。
※排出された大腸カプセル内視鏡は、回収キットの指示書にしたがって回収した後、当院に持参ください。(大腸カプセル内視鏡は使い捨てです) - 検査終了後、検査機器を取り外します。検査結果については後日説明いたします。
- 大腸カプセル内視鏡の注意事項
- 大腸カプセル内視鏡検査は、大腸内視鏡検査と同様に、事前に下剤を飲んで大腸をきれいにする必要があります。さらに、大腸カプセル内視鏡を飲んだ後にも、カプセル内視鏡の排出を促すために、追加の下剤を約3リットル飲む必要があります。
検査時間には個人差があり、3時間から10時間(平均5〜6時間)を要します。
ポリープの有無は調べられますが、切除はできません。また生検もできません。
腸に狭窄がある場合には、検査を受けることができません。
誰もが大腸カプセル内視鏡を保険適用で受けられるわけではありません(保険適用については当院に来院いただき、お問い合わせください)。 - 大腸カプセル内視鏡のメリット・デメリット
- メリット
■「こわい」「恥ずかしい」などの精神的負担がほとんどありません。- ■大腸内視鏡検査が施行困難で、過去に全大腸の検査が受けられなかった方なども検査できます。
- ■痛みはまったくありません。
デメリット
■ポリープなどの病変切除や組織採取ができません。- ■前処置で1リットル下剤を服用した後も追加で3リットル、つまり合計4リットル下剤を飲む必要があります。普通に大腸内視鏡検査をする場合は、検査前に1.5~2リットルの下剤服用ですみます。
- ■検査時間がたいへん長くかかります(3-10時間で個人差があるが平均5-6時間)。
- ■まれにカプセル内視鏡が排出されず、腸の中にとどまったままになることもあります。その場合は内視鏡を挿入して回収するか、それが不可能な場合は開腹手術の可能性もあります。
- ■費用が高額です。保険適応でも4万円弱、自費だと13万円かかります。通常の大腸内視鏡は保険適応で約6千円、ポリープ切除しても2万円前後です。
- ■誰でも健康保険を使ってカプセル大腸内視鏡検査を受けられるわけではありません。保険適用の条件については直接来院してお問い合わせください。
- ■画質は大腸内視鏡に比べてかなり劣ります。加えてカプセルは自走できないので、病変をみつけてもくわしく見ることができません。
- ■大腸内視鏡検査が施行困難で、過去に全大腸の検査が受けられなかった方なども検査できます。
- Q&A
- Q1:カプセル内視鏡の特徴は何ですか?
- A1: カプセル内視鏡は、痛みなどの苦痛が少なく、腸内の画像撮像が可能な検査です。
- Q2:カプセル内視鏡は飲むだけなのですか?
- A2: 胸部と腹部にセンサーアレイを取り付け、腰に画像を受信する記録装置を装着します。
検査中は機器を勝手に外したり、強い衝撃を与えたりしないで下さい。
- Q3:カプセル内視鏡のサイズはどのくらいですか?
- A3: 小腸用のカプセル内視鏡のサイズは、長さ約26mm、直径約11mm、大腸カプセル内視鏡のサイズは、長さ約32mm、直径約12mmです。若干大きく感じるかもしれませんが、医療従事者の管理下で検査が行われるので、安心して検査を受けてください。
- Q4:カプセル内視鏡は、使い捨てですか?
- A4: 使い捨てです。感染症のことを考えると、再使用は考えられません。
- Q5:カプセル内視鏡はどうやって回収するのですか?
- A5: カプセル内視鏡は、排便時に自然に排出されます。
配布される回収キットを用いて、カプセル内視鏡を回収し、当院に持参ください。 - Q6:カプセル内視鏡の検査費用はいくらぐらいですか?
- A6: 保険適用の場合、3割負担で4万円弱ですが、誰でも保険適用の範囲で検査が受けられるわけではありませんのでご注意ください。自費の場合は13万円となります。保険適用については当院に来院いただき、説明させていただきます。
- Q7:検査で痛みはありますか?
- A7: 小型カメラを内蔵したカプセルを飲むだけなので、痛みはありません。個人差はありますが、下剤を服用する際に腹痛がある場合があります。
- Q8:検査時間はどの程度かかりますか?
- A8: 検査時間は、短い方で3時間、長い方で10時間と個人差がありますが、平均すると約5〜6時間です。入院の必要がなく、日帰りで検査を受けることが可能です。検査中は外出も可能ですが、下剤が断続的に排泄されるため、トイレに頻繁に通うことが予想されます。
- Q9:カプセル内視鏡が腸管内で留まることはありませんか?
- A9: まれですが、病変により腸管内が狭くなっているところでカプセル内視鏡が留まってしまうことがあります。排便とともに排出されない場合には、下剤などを服用していただき排出を促進しますが、それでも排出されない時は、内視鏡または開腹手術によって病変の治療を行い、カプセル内視鏡を回収する場合があります。
- Q10:カプセル内視鏡検査中、注意する点はありますか?
- A10: 検査中は、電子レンジなど電磁波を出す家電製品の近くや、MRI、超高圧送電線など強力な電磁波が発生する場所には近づかないで下さい。携帯電話などを使用すると検査画像に乱れが出る場合がありますので、使用は控えて下さい。
また、心臓ペースメーカーが体内に入っている方は、検査が実施できません。 - Q11:カプセル内視鏡の検査中は、検査施設を離れて自宅や勤務先で過ごすことができますか?
- A11: 可能ですが、当院と自宅・勤務先の間にあるトイレの場所を事前に調べておいてください。頻繁に便意をもよおし、待ったなしで飲んだ下剤が出てきます。
- Q12:カプセル内視鏡で病気が見つかった場合は、そのまま治療ができますか?
- A12: カプセル内視鏡では治療ができません。後日大腸内視鏡をあらためて受けていただき、治療いたします。
- Q13:大腸カプセル内視鏡で、食道、胃、小腸の病気を診断することはできますか?
- A13: 大腸カプセル内視鏡は、大腸疾患専用の診断機器としてつくられています。そのため、大腸カプセル内視鏡検査では、大腸疾患のみの診断を医師が行います。
- 院長から一言
- 大腸カプセル内視鏡は確かにすばらしい技術です。しかし当院では2014年の保険適用以後も、導入をみあわせていました。理由はデメリットがメリットを上回るからです。導入している施設が未だに少ないのもそのためでしょう。2019年10月末に私も実際にカプセル内視鏡を飲み、自らを実験台にしてその効果を試してみました。私の感想としては、残念ながら現在のカプセル内視鏡の技術水準では、最初から大腸内視鏡検査を受けたほうが、身体的にも経済的にも負担が軽いように思われました。しかし便潜血陽性反応が出たけれども、大腸内視鏡は怖くてとても受けられない、という方に選択肢を用意することも当院の役割と考え、導入を決めました。
- 大腸の中を見なくてはいけないけれども、大腸内視鏡を受ける決心がつかない方。一度当院にご相談ください。
- 大腸の中を見なくてはいけないけれども、大腸内視鏡を受ける決心がつかない方。一度当院にご相談ください。